【掲載記事】「痩せる注射」は誰に必要? GLP-1受容体作動薬を正しく使うために知っておきたいこと|THE PROFESSIONAL WEDDING 2025年秋号

美人化コラム

『THE PROFESSIONAL WEDDING』2025年秋号の連載「ココロとカラダの保健室×美人化計画」に、いわゆる「痩せる注射」についての記事が掲載されました。

今回お話を伺ったのは、立川パークスクリニック院長・内科医の久住英二先生です。

SNSなどで「簡単に痩せられる」と話題になる注射ですが、本当に誰でも使ってよいのでしょうか。どのような人に必要で、どのような点に注意すべきなのか伺いました。

「痩せる注射」とはどのような薬?

「痩せる注射」と呼ばれているものには、もともと糖尿病治療のために使われてきた薬があります。食欲や血糖などに関わる働きを通じて体重減少につながることがあり、その効果が注目されるようになりました。

久住先生は、必要な人が医師の管理のもとで適切に使えば、体重管理の助けになる場合があると話します。

肥満を改善することによって、負担を減らせる病気や健康上の問題もあります。そのため、体重や健康状態が気になる方にとって、医師と相談しながら検討できる選択肢の一つになり得ます。

ただし、「注射をすれば、何もしなくても簡単に痩せられる」という薬ではありません。

注射だけでなく、食事と運動も一緒に

久住先生の外来には、自費診療で注射による体重管理を希望する方も多く訪れるそうです。

しかし、薬を処方するだけではありません。食事や運動についてもしっかりと指導し、その方のカラダの状態や生活習慣を確認しながら進めています。

薬は、生活習慣を整えたうえで使う補助的な手段です。運動をせずに体重だけを落とそうとすると、筋肉まで減ってしまう可能性があります。体重の数字だけでなく、筋肉を保ち、健康的に生活を続けられるカラダを目指すことが大切です。

BMIの数字だけで自己判断しない

取材時、久住先生は、BMIが22以下の方には医師として勧めていないと話していました。

これは、BMI22以上であれば誰でも使用できるという意味ではありません。久住先生が診療において設けている一つの目安であり、実際に治療が必要かどうかは、既往歴、検査結果、体脂肪や筋肉量、生活習慣などを含めて、医師が総合的に判断します。

特に女性は、実際には医学的に痩せる必要がないにもかかわらず、体重の数字だけを見て「太っている」と思い込んでしまうことがあります。

体重が軽くても、筋肉が少なければ健康的とは限りません。数字を小さくすることだけを目標にせず、自分のカラダにとって本当に必要なことは何かを考えることが大切です。

※BMIの出し方は体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)
例えば、160センチの人は60キロの人は60÷1.6÷1.6=23.4=BMI23.4です。
上記にもあるように、BMIは一つの目安ですので、自己判断はできません。

編集部の男性も興味津々

取材中、この薬の話に編集部の男性も興味津々でした。

今のところ治療を考えるほどではないそうですが、「今後メタボが気になるようになったら、久住先生にお世話になりたい」とのこと。

「痩せる注射」と聞くと、美容に関心の高い女性のためのものと思われがちですが、肥満による健康リスクが気になる男性にとっても関心の高いテーマです。

だからこそ、見た目だけを目的にするのではなく、自分の健康状態を知り、必要であれば医師と一緒に改善方法を考えることが大切なのだと思います。

手軽に手に入るからこそ注意が必要

最近は、オンライン診療などを通じて簡単に処方を受けられるケースもあります。

しかし久住先生は、インターネット上の情報だけで自己判断したり、十分な診察や生活指導を行わない医療機関から安易に入手したりすることは勧めていません。

薬には効果だけでなく、副作用や使用上の注意があります。また、糖尿病などの治療目的ではない場合、自費診療となることもあります。

問診や必要な検査を行い、食事や運動についても一緒に考えてくれる医師を選ぶことが重要です。

信頼できる医師と一緒に考える

体重を減らす必要があるのか、薬を使う必要があるのかは、一人ひとり異なります。

SNSの体験談や広告だけで決めるのではなく、自分の健康状態を総合的に見てくれる医師へ相談してください。

薬を使うか使わないかを含めて、納得できるまで説明を聞き、自分で選ぶこと。それが、カラダと上手に向き合うための第一歩です。

おとな美人化計画から

「痩せていること」と「健康で美しいこと」は、必ずしも同じではありません。

おとな美人世代は、ただ体重を減らすのではなく、筋肉や骨を守り、これから先も元気に動けるカラダをつくることが大切です。

薬は、必要な方にとって心強い選択肢になることがあります。しかし、流行しているから、手軽そうだからという理由だけで始めるものではありません。

食事、運動、睡眠などの生活習慣を見直したうえで、必要な場合には信頼できる医師の力を借りる。そのように、自分のカラダのために納得して選ぶことも、おとな美人の自己決定ではないでしょうか。

お話を伺った方

久住英二先生
立川パークスクリニック院長/内科医

新潟大学医学部卒業。専門は内科、血液内科、旅行医学。日常の健康管理から専門的な医療まで幅広く対応するほか、旅行医学、ワクチン、感染症対策などにも精通。テレビの情報番組や報道番組でも医療解説を担当している。

掲載情報

『THE PROFESSIONAL WEDDING』2025年秋号
連載「ココロとカラダの保健室×美人化計画」

※本記事は掲載当時の取材内容をもとに再構成しています。薬の適応や承認状況、使用上の注意は変更される場合があります。治療を検討する際は、必ず医師・薬剤師へご相談ください。